マミーブレインとは?産後の物忘れ・頭がぼーっとする時の鍼灸


「出産してから、物忘れが増えた気がする」
「人の名前や言葉がすぐに出てこない」
「何をしようとしていたのか、途中でわからなくなる」
「頭にモヤがかかったようで、以前のように頭が回らない」
「仕事に復帰したけれど、集中力が続かない」
出産後、このような変化を感じていませんか?
妊娠中から産後にかけて感じる物忘れや集中力の低下、頭がぼんやりする感覚は、一般に「マミーブレイン」「ベビーブレイン」などと呼ばれています。
「疲れているだけ」
「育児中だから仕方がない」
「自分の能力が落ちたのかな」
そう思ってやり過ごすつもりでも依然元に戻らないから困ります。
それこそ「産後」のあれこれ
妊娠から産後にかけては、ホルモンや睡眠、生活環境だけでなく、脳そのものにも大きな変化が起こる時期であることが、近年の研究から分かってきています。
そして、産後の身体は出産した瞬間に妊娠前の状態へ戻るわけではありません。
ひろせはりきゅう院では、物忘れや頭のぼんやりだけをみるのではなく、睡眠・疲労・自律神経・首肩の緊張・身体の回復状態まで含めて、産後の身体全体を整えていきます。
こんな産後のお悩みはありませんか?
- 物忘れが増えた
- 言葉や人の名前が出てこない
- 頭にモヤがかかったような感じがする
- 集中力が続かない
- 以前より段取りが悪くなった
- 仕事復帰後、頭がうまく切り替わらない
- 夜中に何度も起きて、寝た気がしない
- 朝から身体が重い
- 常に疲れている
- イライラしやすくなった
- 気持ちに余裕がない
- 頭痛や肩こりが増えた
- めまいや立ちくらみがある
- 出産後、なかなか体力が戻らない
一つひとつは小さな不調に見えても、産後はいくつもの不調が重なっていることがあります。
赤ちゃんのことが最優先になり、自分の身体はどうしても後回しになりがちです。
けれど、産後の不調をすべて
「お母さんだから仕方がない」
で済ませる必要はありません。
マミーブレインは「気のせい」なのでしょうか?
マミーブレインについては現在も研究が続いており、すべてが解明されているわけではありません。
一方で、妊娠・出産を通して母親の脳に構造的・機能的な変化が起こることは、神経科学の研究によって明らかになってきました。
2017年に科学誌『Nature Neuroscience』に掲載された研究では、妊娠前と妊娠後の脳をMRIで比較した結果、妊娠した女性では社会的認知に関係する領域を中心に灰白質容積の変化が確認されました。
ここで大切なのは、これを単純な「脳の衰え」や「脳萎縮」と考えないことです。
研究では、赤ちゃんの表情や行動から必要なことを読み取るなど、母親として新しい環境に適応していくための脳の再編成である可能性が考えられています。
つまり妊娠・出産は、
身体だけでなく、脳にとっても大きな変化の時期
なのです。
「脳が変わる」=「頭が悪くなる」ではありません
妊娠による脳の変化は、単純な脳機能の低下ではなく、母親になる過程で起こる神経可塑性(環境に合わせて脳が変化する力)の一つとして研究されています。
また、認知機能について調べた研究では、妊娠中から産後にかけて、記憶や注意などの一部に小さな変化がみられるという報告があります。
一方で、すべての研究で同じ結果が出ているわけではなく、変化の程度や持続期間にも個人差があります。
そのため、
「出産すると全員の認知機能が低下する」
ということではありません。
ただ、
「出産してから明らかに忘れっぽくなった」
「以前のように頭が働かない」
「頭にずっとモヤがかかっている」
という感覚を、単なる気持ちの問題として片づける必要もありません。
産後の「頭が働かない」には、脳以外の問題も重なります
産後の生活を考えてみると、脳にはかなり大きな負担がかかっています。
授乳や夜泣きで何度も起きる。
赤ちゃんの様子を常に気にする。
自分のタイミングで食事や睡眠を取れない。
家事と育児を同時に考える。
仕事復帰後は、さらに仕事の予定や人間関係まで管理する。
一日中、いくつものことを同時に考え続けています。
特に影響が大きいのが睡眠です。
睡眠不足や睡眠の分断は、注意力、記憶、判断力、感情のコントロールなど、さまざまな機能に影響します。
産後は「合計では何時間か寝ている」としても、授乳や赤ちゃんの対応で何度も睡眠が中断されることがあります。
そのため、
妊娠・出産に伴う身体と脳の変化
+
睡眠不足・睡眠の分断
+
育児による頭の負担
+
身体的な疲労
これらが重なって、「頭が回らない」「ずっとぼんやりする」という状態につながっている可能性があります。
だからこそ、マミーブレインを考えるときには、頭だけではなく産後の身体全体を見ることが大切です。
東洋医学から見るマミーブレイン
東洋医学では、産後は特に「気」と「血」を消耗しやすい時期と考えます。
出産では大きなエネルギーを使い、出血を伴います。
その後すぐに授乳や夜間の育児が始まり、身体が十分に回復する前から休みのない生活が続きます。
こうした産後にみられる、
- 疲れやすい
- 顔色がすぐれない
- めまい・立ちくらみ
- 動悸
- 眠りが浅い
- 不安になりやすい
- 集中できない
- 物忘れ
- 頭がぼんやりする
といった状態を、東洋医学ではその方の体質やほかの症状とあわせて、「血虚(けっきょ)」や「気血両虚(きけつりょうきょ)」などとして捉えることがあります。
「血」は西洋医学でいう血液とまったく同じ意味ではありません。
東洋医学では、身体や精神活動を養うものとして「血」を捉えます。
そのため産後は、単純に頭だけを刺激するのではなく、
身体が回復するために必要なものを補い、休める身体をつくり、全身のバランスを整えていくこと
を大切にします。
マミーブレインに鍼灸は何ができるのでしょうか?
現時点では「マミーブレインそのもの」を対象にした質の高い鍼灸の臨床研究は十分ではありません。
そのため、
「鍼灸でマミーブレインが治る」
と断定することはできません。
一方で、マミーブレインと一緒に起こりやすい睡眠、自律神経、気分、疲労などに関連する領域については、鍼灸の研究が行われています。
自律神経へのアプローチ
鍼刺激が感覚神経を介して脳・脊髄へ伝わり、自律神経系に影響を与える仕組みについて研究されています。
産後の方からよく聞くのが、
「身体は疲れているのに眠れない」
「子どもが寝ていても、自分はなかなか眠れない」
「ずっと気が張っている」
「些細なことでイライラする」
という状態です。
休む時間を確保することはもちろん大切ですが、疲れているのに身体がうまく休息モードへ切り替わらない方もいます。
鍼灸では、こうした身体の緊張も含めて整えていきます。
睡眠へのアプローチ
鍼灸と睡眠については、ランダム化比較試験や系統的レビューが複数報告されています。
研究の質にはばらつきがあり、まだ確定的とはいえませんが、睡眠の質や不眠症状について研究が進められている分野です。
産後の「頭が働かない」「頭がすっきりしない」を考えるうえでも、睡眠を整えることは重要なポイントです。
産後の気分の落ち込みについて
産後うつに対する鍼灸についても研究やメタアナリシスが行われています。
一部では症状評価尺度の改善が報告されていますが、研究数や対象者数などの限界もあり、標準的な医療に代わるものではありません。
気分の落ち込みが強い場合、強い不安が続く場合、日常生活や育児が難しくなっている場合には、鍼灸だけで対応せず、産婦人科・精神科・心療内科など適切な医療機関へご相談ください。
必要な医療を受けながら、身体面のケアとして鍼灸を利用することもできます。
頭だけではなく、産後の身体全体をみて施術します
「頭がぼんやりするから、頭に鍼をする」
それだけが当院の産後鍼灸ではありません。
同じ「頭が働かない」という訴えでも、その背景は一人ひとり違います。
施術前に、
- 睡眠
- 疲労
- 頭痛
- 首・肩こり
- 腰痛
- 冷え
- 胃腸の状態
- 月経の再開
- 授乳
- 精神的な緊張
- 仕事復帰後の疲れ
などを確認します。
その日の身体の状態に合わせて、手足や身体への鍼・お灸などを組み合わせます。
マミーブレインという一つの症状だけではなく、「なぜ今、この身体が回復しにくくなっているのか」を考えながら施術することを大切にしています。
頭のぼんやり・頭の疲れが気になる方には「頭の鍼」も
通常の鍼灸施術に加えて、頭のぼんやり感や頭の疲れが特に気になる方には、オプションで「頭の鍼」も行っています。
頭部には多くの経穴(ツボ)があり、東洋医学では昔から、その方の状態に応じて頭痛や不眠、精神的な緊張などに頭部への鍼が用いられてきました。
当院の「頭の鍼」では、百会(ひゃくえ)や四神聡(ししんそう)などを含め、頭部の状態を確認しながら必要な場所に細い鍼を使用します。

こんな方におすすめしています
- 頭にモヤがかかったような感じがする
- 頭がずっと働いていて休まらない
- 考えがまとまりにくい
- 集中しづらい
- 睡眠が浅く、起きても頭がすっきりしない
- 頭痛や首・肩の緊張もある
- 仕事復帰後、頭の疲れを強く感じる
マミーブレインのような「頭の不調」が気になると、どうしても頭だけを何とかしたくなります。
しかし産後は、睡眠不足、疲労、首や肩の緊張、食事、授乳など、さまざまな要因が重なっています。
そのため当院では、全身の鍼灸で産後の身体を整えたうえで、必要な方には頭部への施術をプラスするという考え方をしています。
「身体は疲れているのに、頭だけずっと動いている」
「休みたいのに、うまくOFFになれない」
「久しぶりに仕事へ戻ったら、頭の疲れが想像以上だった」
そんな方にも、身体と頭の両方からアプローチします。
頭の鍼は通常の鍼灸施術に追加できるオプションです。
[頭の鍼について詳しく見る]
「子どもは元気。でも私はずっとしんどい」
産後は赤ちゃんの健診はあっても、お母さん自身の身体を継続してみてもらう機会は意外と少ないものです。
赤ちゃんが順調に成長していれば、
「私も大丈夫」
と思ってしまいがちです。
そして子どもの成長とともに、
「もう産後○か月だから」
「もう1年経ったから」
と、自分の不調を「産後の問題」として考えなくなっていきます。
でも、出産から時間が経てば、自動的に身体が回復するとは限りません。
睡眠不足や育児の負担が続いていれば、回復するための時間そのものが足りていないこともあります。
「病気というほどではない。でも以前の自分とは違う」
「毎日できてはいる。でも、ずっとしんどい」
そんな段階も、身体を整えるタイミングです。
仕事復帰してからマミーブレインを強く感じる方へ
育休中よりも、仕事復帰してから「頭が働かない」と感じる方もいます。
仕事では、
「覚える」
「判断する」
「段取りを組む」
「人と話す」
「時間を管理する」
といった処理が一気に増えます。
そして仕事が終われば、今度は育児や家事があります。
以前なら普通にできていた仕事でミスをしたり、言葉がすぐに出なかったりすると、
「私、こんなに仕事ができなかったかな?」
と不安になることがあります。
でも産後は、身体の回復状態、睡眠、育児による負担など、妊娠前とは条件そのものが違います。
「もっと頑張らなければ」と負荷を増やす前に、回復できる身体をつくることも考えてみてください。
産後、こんな方に鍼灸をおすすめします
鍼灸は「物忘れだけを治したい」という方のためだけのものではありません。
- 産後ずっと疲れが取れない
- 夜中に何度も起きる
- 朝起きても疲れている
- 頭痛や肩こりが続いている
- イライラしやすい
- 身体が常に緊張している
- 仕事復帰してから疲労が強くなった
- 出産前の体調に戻った感じがしない
- 病院へ行くほどではない不調がいくつもある
- 自分の身体のケアをずっと後回しにしている
マミーブレインを一つのきっかけとして、産後の身体を一度見直してみませんか。
産後のお母さんの身体にも、ケアする時間を
妊娠中は赤ちゃんを育てるために身体が大きく変化します。
出産では大きなエネルギーを使います。
そして出産したその日から、今度は育児が始まります。
身体が回復してから育児が始まるわけではありません。
だから産後に必要なのは、
「早く元の自分に戻らなければ」と頑張ることではなく、変化した身体が新しい生活に適応できるよう、回復する時間をつくること。
物忘れ
頭のぼんやり
睡眠不足
疲労
肩こり
頭痛
イライラ
一つひとつを別々の不調として見るのではなく、産後の今の身体全体を見ながら整えていきます。
「子どものための予定ばかりで、自分の身体のために何もしていなかった」
という方も少なくありません。
これからも育児や仕事を続けていくための身体です。
お母さん自身の身体にも、ケアする時間をつくってあげてください。
宝塚・川西・伊丹・池田・西宮周辺で、産後の疲労、睡眠、頭痛・肩こり、頭のぼんやり、マミーブレインなどにお悩みの方は、ひろせはりきゅう院へご相談ください。
女性鍼灸師が完全個室で、その日の身体の状態に合わせて施術します。
参考文献
Hoekzema E, et al. Pregnancy leads to long-lasting changes in human brain structure. Nature Neuroscience. 2017;20:287–296.
Brown E, Schaffir J. “Pregnancy Brain”: A Review of Cognitive Changes in Pregnancy and Postpartum. Obstetrics and Gynecology Survey. 2019.
Younis J, et al. Exploring the influence of pregnancy on cognitive function in women: a systematic review. BMC Pregnancy and Childbirth. 2025.
Li W, et al. Effectiveness of Acupuncture Used for the Management of Postpartum Depression: A Systematic Review and Meta-Analysis. BioMed Research International. 2019.
Kim SA, et al. Efficacy of Acupuncture for Insomnia: A Systematic Review and Meta-Analysis. The American Journal of Chinese Medicine. 2021.


