
子宮筋腫とは
子宮の筋肉にできる良性のこぶ(腫瘍)のことです。30歳以上の女性の20~30%に見られ、40歳代では40~50%の女性にある、とても多い病気です。筋腫の大きさや場所によって症状の強さが違い、小さなものから握りこぶし大やそれより大きくなるものまで様々です。良性なので命に関わることはありませんが、日常生活がつらくなることがあります。
子宮筋腫の特徴は?
子宮筋腫は多くの女性がなる可能性がある病気ですが、症状の出方は人それぞれです。次のような症状がある場合は、子宮筋腫の可能性を考えてみましょう。
生理の量が多すぎる・期間が長い
子宮筋腫で一番多い症状は、生理の量が増えることと期間が長くなることです。以下のような変化があります:
- ナプキンを1時間に1回以上変える必要がある
- 夜用の大きなナプキンでも漏れてしまう
- 生理が8日以上続く
- レバーのような大きな血のかたまりがよく出る
特に子宮の内側にできる筋腫では、生理の量がとても多くなり、貧血になってしまうことも多いです。生理のたびに大量に出血するため、めまいやふらつき、疲れやすさなどで悩む女性がたくさんいます。
生理痛がひどくなる
子宮筋腫があると、生理の時の痛みが強くなることがあります:
- 前より生理痛がひどくなった
- 痛み止めが効かないほど痛い
- 生理中ずっと重い痛みが続く
- 腰や足の付け根も痛む
筋腫が大きくなると子宮がうまく縮めなくなり、より強く縮もうとするため痛みが強くなります。
生理以外の出血
生理じゃない時にも出血することがあります:
- 生理と生理の間の出血
- 性行為の後の出血
- 茶色っぽいおりものが続く
- 閉経した後の出血
特に子宮の内側にできる筋腫では、生理以外の出血が起こりやすくなります。
他の臓器を圧迫する症状
筋腫が大きくなると、まわりの臓器を押して以下のような症状が出ることがあります
- トイレが近い、急にトイレに行きたくなる(膀胱を圧迫)
- 便秘(腸を圧迫)
- お腹の張りや重苦しさ
- 腰痛や背中の痛み
- 足のむくみ(大きな筋腫が血管を圧迫)
これらの症状は筋腫の場所や大きさによって大きく違います。
妊娠しにくい・流産しやすい
子宮筋腫は不妊の原因のひとつでもあります
- なかなか妊娠しない
- 何度も流産してしまう
- 早産になりやすい
- お腹の赤ちゃんの成長に影響
特に子宮の内側を変形させる筋腫や、卵管の入り口をふさぐ場所にある筋腫は、妊娠に大きく影響する可能性があります。
貧血の症状
生理の量が多いため鉄分が足りなくなり、貧血になることがあります:
- 疲れやすい、だるい
- 息切れ、動悸
- 顔色が悪い、唇や爪が白っぽい
- 集中できない
- 氷を食べたくなる
これらの症状に心当たりがある方は、早めに婦人科を受診して、きちんと検査を受けることをお勧めします。
子宮筋腫の原因は?
子宮筋腫のはっきりした原因はまだ完全にはわかっていませんが、女性ホルモン(特にエストロゲン)の影響が大きいと考えられています。エストロゲンは筋腫を大きくする働きがあるため、生理がある年代の女性に多く見られます。
また、遺伝も関係しており、家族に子宮筋腫の人がいる場合はなりやすくなります。その他、太っている、初経が早い、出産したことがない、食生活の乱れ、ストレスなども関係すると考えられています。
病院ではどのような治療が行われるのでしょう?
子宮筋腫の治療は、症状の程度、筋腫の大きさや場所、年齢、妊娠を希望するかどうかなどを総合的に考えて決めます。
病院での治療は?
薬での治療
- ホルモン療法:筋腫を小さくする薬
- 症状を和らげる治療:貧血を治す薬、痛み止め
- 低用量ピル:生理の量を減らし、生理痛を和らげる
手術での治療
- 筋腫だけ取る手術:子宮を残して筋腫だけを取る、妊娠を希望する場合に選択
- 子宮全摘術:子宮を全部取る、妊娠を希望しない場合の選択肢
- 子宮内膜を処理する手術:内膜を処理して生理の量を減らす
身体に負担の少ない治療
- 子宮動脈塞栓術:筋腫への血の流れを止める
- 超音波治療:超音波で筋腫を熱で固める
症状が軽くて日常生活に困らない場合は、定期的に様子を見ることもあります。
子宮筋腫に対して鍼灸で出来ること
血の流れを良くして身体全体を整え、子宮筋腫による症状を和らげることを目指します。特に生理の量が多いことによる貧血症状や生理痛の改善、ホルモンバランスを整えることに効果が期待できます。
子宮や骨盤内の血の流れを良くすることで、筋腫が大きくなるのを抑えたり症状を和らげたりします。また、自律神経を整えることで、ストレスによるホルモンバランスの乱れを改善することも大切です。
鍼灸で筋腫が小さくなるという症例も少なくありませんが病院と並行して治療をされることをお勧めします。
ご自身でも行っていただきたいのは
- 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)で血の流れを良くする
- 食生活の見直し(鉄分の多い食べ物を摂る、大豆製品を適度に摂る)
- 身体を冷やさない生活(お風呂に入る、温かい飲み物を飲む)
- ストレスを減らす(十分な睡眠、リラックスする時間を作る)
- 定期的に婦人科検診を受ける
子宮筋腫は良性の病気ですが、そのままにしておくと症状がひどくなり、日常生活がつらくなる可能性があります。早く見つけて早く対応することで、症状をコントロールしながら快適に過ごすことができます。
妊娠を希望される方にとっては、筋腫の場所や大きさによって妊娠や出産に影響することがあるため、専門医に相談することが大切です。これまでの経験では、きちんと治療することで妊娠・出産できた方もたくさんいらっしゃいます。
当院では鍼灸治療だけでなくセルフケアのアドバイスもさせていただいています。気になる症状がありましたら是非お気軽にLINEでご相談ください。